四季を映す、雅な器。京都・五条坂「花光山窯」を訪ねて

歴史ある五条坂に佇む窯元

京都・東山区。世界遺産・清水寺へと続く歴史ある通り、五条坂の少し奥まった場所に「花光山窯」があります。

海外からの観光客も多く訪れるこの地に、四代続く窯元としての歴史を感じさせる佇まいが静かに建っています。

京都らしい町家づくりの屋敷が並ぶ、奥ゆかしい陶工房。

生活の中に作陶が根付いていることを体現するかのように、ひとたび足を踏み入れると、絵具や筆が並び、棚には陶芸の専門書や見本がびっしりと収められています。

乾山に通じる、雅なうつわ

花光山窯は、京都の食文化を彩る本格的な和食器を手がけてきた窯元です。

江戸時代の名工・尾形乾山の作風に通じる、四季折々の花鳥を描いた雅なうつわを得意としています。

陶器ならではの温かみある風合いに、伝統的な和絵具で彩られた草花。花びら一枚一枚を丁寧に描き、盛り上がった絵具が生み出す立体的な陰影まで美しい絵付けが魅力です。

家族で守り継ぐものづくり

家族で営まれる花光山窯。四代目当主・和田初さんの息子である和田学さんも、自然な流れの中で陶芸を学び、家業に加わりました。

和田さんは和食器づくりを受け継ぎつつ、料亭などで使われる本格的な食器にとどまらず、家庭でも使いやすいうつわづくりを模索してきました。

暮らしに寄り添う器のかたち

乾山のうつわづくりの精神をそのままに、マグカップや湯呑、使い勝手のよい皿など、日々の暮らしに寄り添ううつわを幅広く制作しています。

現代のライフスタイルに合ったフォルムでありながら、清水焼ならではの風雅なインスピレーションを感じさせるその作品は、国内外で高い人気を集めています。

生命力あふれる幹から満開に咲く桜や、余白をたっぷり楽しめる紅白梅の絵柄など、和のテイストをしっかり残しながら、日常の中で使う姿を思い描ける、暮らしに寄り添ったデザインです。

伝統の美しさを受け継ぎながら、現代の暮らしにもやさしく寄り添う――それが花光山窯のうつわです。

 

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