京都市・山科区の清閑な住宅街にひっそりと陶房兼ギャラリーをかまえる平安楽堂 松岡賢司さん。
確かな成形技術と多様な色彩表現で作られるのはユニークな焼き物ばかり。
京焼・清水焼の陶房を営む家に生まれ、伝統工芸の中で育ってきましたが、伝統にこだわらず、今の生活にぴったり合ううつわ作りを心掛けています。

松岡賢司さんが生まれ育ったのは京都市・東山区の日吉地区です。
日吉地区は京焼・清水焼の窯元が軒を連ねる伝統工芸の町。松岡さんの実家も主に割烹食器を作っている清水焼の陶房を営んでいます。
幼いころから焼き物に触れていた松岡さんが清水焼の陶工を志したのも自然な流れでした。

2004年に陶工を育てる訓練校を卒業後、家業に携わりながら、自身のうつわ作りを見つめ、2020年に現在の山科区の陶房を築窯しました。
落ち着いた空気が流れる居心地の良い陶房は、松岡さんのうつわを展示するギャラリーも併設さています。
平日は家業の陶房を、それ以外は自身の陶房でオリジナリティあふれるうつわをつくり、全国の陶器市で販売する。それが松岡さんのライフスタイルです。
各地の陶器市で様々な焼き物と作り手と関わっていくなかで、松岡さんのうつわも洗練されていきました。



清水焼らしい薄く軽く作られたカップや、和食と相性が良いこだわった形状のうつわなど。
そこに独自に調合されたカラフルな釉薬が組み合わさって、一般的な食器とはちょっと違う雰囲気に。
伝統工芸のエッセンスと、モダンなライフスタイルへの提案、そして使い勝手の良さ。これらが平安楽堂さんのうつわの魅力です。

ひとりで工房を営む松岡賢司さん。
製作の傍らで全国の陶器市に出展していて、さらに家業との兼ね合いもあって、とても忙しそうですが、奥様の強力なサポートがあり、充実した日々を送っておられます。

ご夫婦二人三脚で営む手作りの器陶房、平安楽堂さんのご活躍に注目していきたいと思います。