生涯をささげた技術
一珍交趾焼
作り手の数だけ個性があり、表現方法も異なる京焼・清水焼。
その中でとりわけ特徴的で高い専門技術が求められる技法「一珍交趾」。
素焼きの陶器の肌に細い土を盛り上げ、ガラスのような透明感のある釉薬・交趾釉をまとませ焼成する。
焼成前の交趾釉は流れ落ちやすく、また焼成温度の管理が難しい釉薬だが、目が覚めるような鮮やかさと光沢が特徴だ。
半世紀にわたる作陶、山本一如氏はこの技法に生涯を捧げた。
交趾焼の名工・初代中村翠嵐に師事、独立開窯後は多くの名窯からの支持を受けながら技術を磨く。
多くの公募展で輝かしい賞を受けながら、驕ることなくひたすらに作陶を続けてきた。
現在は自宅を改装し構えた作業場で、体を気遣いながらこだわった作品を少量のみ作陶している。
「多くの人に自分の作品を見てらもらいたい。」
「よい作品を残したい。」と一如氏はよく言う。
不世出の陶芸家が生み出す華やかな陶磁器は、京焼の歴史に鮮烈に刻まれるだろう。
山本一如 陶歴
1949年大阪生まれ。
初代中村翠嵐師事。
京都清水焼展グランプリ。
京都清水焼展市長賞。
京都清水焼展通産大臣賞。
京都府伝統工芸技術展連続3回優勝以後招待出品。