岩華窯 6代目 高木竜太さん インタビュー

ブログをご覧の皆様、こんにちは。

コトポッター店主の横山です。

今回は明治初期より続く窯元 岩華窯の6代目当主 高木竜太さんにインタビューをしてきました。

染付や鉄絵といった伝統技法のうつわ作りを継承しつつ、沖縄の修業期間でえた着眼点をもとに新しい挑戦をする高木さん。

岩華窯の歴史をたどりながらお話しを聞いてきました。

 

岩華窯 高木竜太さん インタビュー

横山:岩華窯の創業当初から続く伝統工芸技術について教えていただけますか?特に、窯元としてこだわっている技法や作風があれば教えてください。

高木さん:岩華窯は主に磁器、いわゆる「石もん」を扱ってます。特に得意なのは※染付(そめつけ)※上絵(うわえ)の技法です。初代から受け継いできたもので、うちはずっとこの技法でやってきたんです。今も手描きの技法を守りながら、現代の感覚も取り入れて、少しずつ変化させてる感じですね。

※染付け:素地にコバルトなどの顔料を使い、焼成後に青色が浮き出る技法で、焼き物に深みと繊細さを与えます。
※上絵:焼成後の素地に色釉をのせて再度焼く技法。色のバリエーションが豊富で、華やかな仕上がりになります。

<2代岩華。高木竜太さんの祖父にあたる>

横山:6代続いているというのはすごい歴史ですね。岩華窯の沿革についても少し教えていただけますか?

高木さん:初代の岩次郎さんが始めたんですけど、陶人形とかも作ってたみたいで、見てわかるように土もん(陶器)もやってたんですよ。でも、2代目の代から磁器を中心にしていって、そこからずっと続いています。うちのひいおじいちゃんやおばあちゃん、そして父が5代目を継いで、今自分が6代目です。それぞれの時代で多少の変化はありますけど、伝統と「うつわ」への思いは変わらないですね。

<初代岩華、岩次郎さんの唯一現存する作品。寿老人の陶人形>

横山:磁器へのこだわりが強いですね。他にも特徴的な技法やこだわりはありますか?

高木さん:そうですね、やっぱり※鉄絵(てつえ)っていう技法ですね。鉄絵は焼くと少しにじんで広がるから、細かい絵には向かないんですけど、モダンな雰囲気が出せるんです。染付とは違った趣があるので、うちのカラーとしては結構気に入ってますね。

※鉄絵:鉄を原料とする顔料で絵付けをする技法、渋い茶褐色の色味が特徴。

 


横山:岩華窯の器作りにおいて、特に力を入れている分野や作品はありますか?

高木さん:うちは「うつわ」って考え方で、花瓶も食器も同じものとして捉えています。料理や花が入って、器が完成するっていう感じです。だから、用途に縛られず、いろんな形で使える器を意識して作ってますね。生活の中に溶け込んで、使う人にしっくりくる「うつわ」を作りたいと思っています。



横山:沖縄で修行を積まれた経験についても教えていただけますか?なぜ京都以外で修行しようと思われたのですか?


高木さん:やっぱり外の世界を見たかったっていうのが大きいです。沖縄の「※やちむんの里」に入って、全然違う環境で陶芸に向き合うことができました。向こうでは土からすべて自分たちで作って、登り窯で焼くんですよ。京都とはまったく違う環境で、視野が広がりましたね。この経験が今の「うつわ」づくりにも活きてると思います。

※やちむんの里:沖縄にある陶器の村。独特な陶器技法が継承され、伝統的な陶器「やちむん」を生産する場所。

<沖縄修行時代に製作したマグカップ。登り窯で焼かれた貴重な品>

横山:沖縄での経験が、現在の作品にも影響を与えているのでしょうか?

高木さん:沖縄で学んだことが今の作品にも少し影響を与えてます。例えば、※トルコブルーの色味は沖縄の海を思わせるもので、お客さんにも「沖縄の海を思い出します」って言ってもらうこともあります。もちろん、岩華窯ならではのアレンジも加えていますが、そういう背景が少しでも伝わるといいですね。

※トルコブルー:鉱物を混ぜた釉薬を焼成して鮮やか青色を出す技法。作り手によって色彩や表現方法が大きく異なる。


横山:岩華窯の作品を使うお客様に対して、どのように器を楽しんでいただきたいと考えていますか?

高木さん:自由に使ってもらえればと思っています。小鉢をソース皿に使ってもいいし、逆に大きな皿を銘々皿として使ってもいいと思います。そうやって、お客さんが好きなように楽しんでくれたら嬉しいですね。器が使う人の日常に自然に溶け込むのが理想です。



横山:最後に、岩華窯の作品を購入する際のポイントや選び方についてアドバイスがあれば教えてください。

高木さん:うーん、正直言うと「気に入ったものを選んでください」ってことですね。「おすすめは?」って聞かれることも多いんですけど、全部自信を持って作ってるので、どれを選んでもらっても満足いただけると思います。気に入った器と一緒に暮らしてもらえたら、それが一番です。


いかがだったでしょうか。

これぞ清水焼、というべき染付の丹精なうつわを作る岩華窯。

若い当代の活躍にこれからも期待したいですね。

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