俊山窯 三代目 森俊次さん インタビュー

ブログをご覧の皆様、こんにちは。

コトポッター店主の横山です。

今回は大正6年より続く清水焼の窯元 俊山窯の3代目当主 森俊次さんにインタビューをしてきました。

伝統と文化を継承しながら、気さくでおおらかな人柄の森俊次さん。

現在の俊山窯がどのように形作られてきたか、またこれからの俊山窯についてお伺いしました。

 

インタビュー:清水焼・京焼の俊山窯の歴史と技術について

横山: 清水焼窯元の俊山窯は大正六年創業だと思いますが、その歴史について教えていただけますか?

俊山さん: そうやね、俊山窯は大正六年、うちの祖父が始めたんや。もともと石川県で※九谷焼きの職人やってたんやけど、「京都の方がええ仕事できるやろ」ってことで、清水焼や京焼の地元、京都に移ってきたんや。それから※京都市の工業試験なんかにも関わって、最終的には泉涌寺のふもとで窯を開いて、俊山窯の基礎ができたんやわ。

※九谷焼き: 石川県を代表する伝統的な焼き物で、鮮やかな色彩と豪華な絵付けが特徴。
※工業試験:現・京都市産業技術研究所。大正年間より陶磁器の釉薬や色彩の研究を行っている。

 

横山: そういった経緯があったんですね。俊山さんで三代目ということですが、その中で「俊山」の作品はどのように受け継がれているのでしょうか?

俊山さん: まあ、僕が三代目やけど、京焼や清水焼の伝統を守りつつ、現代の手作り陶器としての温かみも大事にしてる。高校出て訓練校で基礎を学んで、その後は※宮下先生という京都の陶芸家のもとで6年間修行した。先生の指導は厳しくて、給料もほとんどなかったけど、毎日が鍛錬で、それが今の僕の清水焼・京焼に対する姿勢の基盤になってる。

※宮下先生: 陶芸家、故・宮下善璽氏は日展を中心に活躍した近代陶芸の名匠で、俊山さんと同じ泉涌寺地区に陶房を構えていた。俊山さんの師匠でもある。

 

横山: 俊山窯では※乾山写しの技法が特徴的だと思いますが、その技術や作品の再現についても教えていただけますか?

※乾山写し: 江戸時代の陶芸家、尾形乾山の技法や作風を再現した作品で、鮮やかな色彩や大胆な自然をテーマにした独自の装飾が特徴。

俊山さん: 乾山写しね。祖父はまた違う作風やったけど、父の代から乾山写しの注文が増えて、京都の問屋さんを通して始めたんや。乾山の独特なデザインや絵付けが特徴で、生地から絵付けまで俊山窯で一貫して手作りで作ってる。京焼や清水焼の伝統工芸の良さは、この手作りならではの温かみや個性が出るところやと思う。

横山: 手作り陶器の制作において、俊山窯ならではの技術やこだわりについて詳しく教えてください。

俊山さん: うちでは清水焼や京焼の陶器をろくろで仕上げるとき、少しの「ゆらぎ」を残すことを大事にしてるんや。完璧すぎる形やと、手作り陶器の味がなくなってまうからね。自然な仕上がりが京都の伝統工芸の陶器に温かみを加えると思う。

横山: 清水焼や京焼といった伝統工芸を現代風にアレンジする工夫についても教えてください。俊山窯が目指す伝統と現代の融合について、具体例があればお願いします。

俊山さん: そうやね。乾山写しのほかに、四季の花をあしらった清水焼のデザインも取り入れてる。華やかな色彩や金彩とか、※ラスターなんかキラキラ光る絵の具を使って、清水焼・京焼の陶器が現代の生活にも馴染むようにしてるんや。俊山窯の作品は、こういった工夫でインテリアとしても映える伝統工芸の良さを感じてもらえたらって思ってる。

※ラスター: 焼き上げの際に金属を含む釉薬で光沢を出す技法で、陶器に金属的な輝きが加わり、豪華さが増す。

横山: 初めて俊山窯の清水焼・京焼を購入される方に、おすすめの器や、選び方のポイントについてアドバイスをお願いします。

俊山さん: うちの器は手作り陶器ならではの温かみが特徴で、見たときに「かわいい」「きれい」って感じてもらえるもんが多い。普段使いの陶器としてもええし、食卓の雰囲気も明るくなるんよ。器自体が持つ風合いや、使うほどに出てくる味が俊山窯の陶器の魅力やと思う。

横山: 若い世代や海外市場に向けて、俊山窯が考える伝統工芸の未来や、その魅力を伝えるための取り組みについて教えてください。

俊山さん: 最近、清水焼や京焼の陶器が海外でも注目されててね。特に日本らしい四季のデザインが評価されてて、清水焼や京焼を通して日本文化を感じてもらえてるのが嬉しいな。若い世代も、日常使いの贅沢として手作り陶器の良さに気付いてくれたらええなと思ってる。

横山: 最後に、泉涌寺のふもとにあるショールームでの見学や陶芸体験について、俊山窯ならではの楽しみ方を教えてください。

俊山さん: うちの工房では、制作の現場を見学しながら清水焼の体験ができるんよ。※楽焼きの体験では短時間で焼き上がり、当日持ち帰ってもらえる。乾山写しの素焼き生地を使った絵付け体験もあって、手作り陶器の奥深さや、伝統工芸の魅力を存分に楽しんでほしいと思ってる。

※楽焼: 京都の伝統的な陶器で、急速な焼成と冷却による独特の風合いが特徴。

 

いかがだったでしょうか。

乾山より続く京焼・清水焼の伝統を守りつつ、現代の感覚に合うように進化させる俊山窯。

これからも美しく華やかな清水焼のうつわをつくってください!

 

横山雅駿
KOTOPOTTER 店主

横山雅駿

10年以上にわたり、京焼・清水焼はじめ伝統工芸品や陶磁器に携わっています。

京都の窯元や陶芸家と連携し知見や審美眼を深めながら、新しい伝統工芸品の在り方を模索しています。

2024年に京焼・清水焼専門のECサイトKOTOPOTTERを立ち上げました。

 

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